2085年に生きる猫が見た世界

第1話:人間はなぜこんなに忙しく動き回るのか?

2028猫2
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 2085年に生きる猫が見た社会

〜猫視点で見た人間という不思議な生物〜

我輩は2085年に生きる猫、

名前は「シロ」。

いや、人間たちは
勝手に「シロ様」とか呼ぶが、
まあそれは悪くない呼び名だ。


1. 朝の観察

朝。
人間は忙しい。

コーヒー、データチェック、体温スキャン、
AIニュース、予定確認、栄養補給
それらを同時に行う。

シロの観察:

「落ち着け。そんなに焦ってどこへ行く。」

我輩はその間、
窓際であくびをする。


2. 部屋の中央にある謎の球体

人間の家には
「生活支援AIオーブ」という
丸い浮遊端末がある。

我輩は時々前足で触る。

するとオーブが言う。

「入力対象が不明。
指令入力は言語または意識で行ってください」

シロの思考:

「意識入力とは何だ。
我輩はただ触りたいだけだ。」

人間はオーブに
念じるだけで家事が進む。

ロボットが料理し、
服が変わり、
食器が片付く。

だが、我輩はこう思う。

「器用な人間よ、
自分で毛づくろいすらしないのだな」


3. 外の世界へ

2085年の街では、
空に車が浮いている。

道には歩行者が少ない。
みんな遠隔転送通話で
空間映像だけ出現して会話をする。

シロの観察:

「お前たち、
その身体は何のためにある?」


4. ペットという概念の変化

2085年の社会では、
動物は「ペット」ではなく
「共存個体」と呼ばれる。

つまり、
我輩は
所有物ではなく
“家族”。

人間が落ち込み
うずくまる時、
我輩はただ隣に座る。

すると人間は言う。

「ありがとう…シロ」

我輩:

「何もしていないが」

しかし人間は
涙をこぼす。

AIでは
埋められない
孤独の空洞に
猫は静かに入っていく。


5. 猫の哲学

我輩は思う。

人間は、
未来になるほど
不便を失い
苦労を減らし
効率を上げるが……

時々
とても疲れている。

我輩は
窓辺で日向ぼっこをしながら
こう考える。

「生きるとは、
急ぎ過ぎず
怠け過ぎず
ただ存在することなのではないか?」

人間のように
未来を急がず
AIのように
最適解を求めず
猫のように
その時を味わう。

それが
生であり
美なのだ。


— 第1話 完 —