我輩は2085年の猫、シロである。
さて今日は、人間がついにやらかした話をしよう。
1. 翻訳デバイスの登場
ある日、人間たちは
「動物意思翻訳システム」というものを試していた。
ペットの首輪に小さな装置をつけると、
動物の声や仕草や脳波を解析して
言葉に翻訳するというものだ。
我輩は言われた。
「シロ、これで君の言いたいことがわかるよ!」
シロの心の声:
「わかっても困るのだが」
2. 翻訳開始
我輩が
「ニャ」
と言うと——
翻訳機
「人間よ、通せ。そこは我輩の寝る場所である」
人間
「すごい!自分の意思を言ってる!」
我輩:
「いや、そんな大げさなことではない」
3. 翻訳されすぎ問題
我輩が人間を見つめた。
翻訳機
「その服は似合っていない」
人間
「シロ!?!?」
我輩
「言ってない」
視線をそらす。
翻訳機
「いや似合っていない。恥ずかしいから着替えてほしい」
人間
「やめて!!!!」
我輩
「だから言ってない!!!」
4. 翻訳できない領域
ある日、
我輩は人間の膝に乗った。
何も言わなかった。
ただ静かに座っていた。
翻訳機は沈黙。
人間
「何か言ってる?」
翻訳機
「解析不能…
これは…言葉にならない…
“存在の共鳴”…?」
人間
「シロ……
君は……慰めてくれてるの?」
我輩
「……まぁ、そなたは疲れておるようだからな」
翻訳機には出せない感情が
そこにあった。
5. AIでも読めない猫の心
科学が進歩し
言語化できる領域が増えたが…
猫の思いの中には
翻訳できないものがある。
-
光の暖かさ
-
静かな共有
-
鼓動の近さ
-
匂いの記憶
-
そこにいる感覚
それは
言語ではなく
存在そのもの。
6. 翻訳機を外された日
ある日、
人間が言った。
「シロ、これ外すね。
言葉じゃない君の気持ちを、
ちゃんと感じたいから。」
我輩は思った。
「言語を捨てたか…
賢明な判断だ。」
7. シロの結論
我輩はこう考える。
人間は言葉があれば理解できると思っている。
しかし本当に大切な感情は
言葉にならない。
猫は言葉を持たないのではない。
言葉を必要としないのだ。
我輩が膝に乗ること。
ただそれで
伝わるものがある。
— 第2話 完 —
次は……
第3話:
「AIが猫を最適化しようとした日」
(毛づくろいまでスキャンされる)
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