2025年の人間たちってヤバすぎる

第10話:それでも…不便な人間たちは、ちょっと羨ましい

小学生10
小学生10

2055年のぼくはずっと笑ってた。

2025年の人間は「バグだらけ」で「非効率」で「めんどくさい」。
でも……

調べれば調べるほど、
ぼくの心にある感情が生まれた。

それは――

羨ましさ。


1. 不便だから、一緒にいた

2025年の人間は、
ひとりでできない事が多かった。

  • 鞄を持ってもらう

  • 傘に入れてもらう

  • 駅で迷ったら人に聞く

  • できない宿題を友達に聞く

  • 重い荷物を手伝ってもらう

ぼく
「できないって、いいことだったんじゃないか……?」

今は
全部自動で
全部AIで
全部指示通りで
全部解決してしまう。

助けてもらう必要がない。
だから感謝も生まれない。

でも2025年は
人に頼る必要があった。

そのたびに
「ありがとう」が生まれた。


2. 難しいから、諦められなかった

テストの勉強は難しい。
恋愛は難しい。
仕事も難しい。
人間関係も難しい。
未来も難しい。

でもだからこそ――
みんな悩んでた。

悩むってね、
今の時代ではほとんどない。

AIが
「もっと最適な道はこちらです」
って示すから。

でも2025年の人間は
悩む権利があった。

  • 悩んで

  • 迷って

  • 闘って

  • 答えを出していた

その過程が、
人生だった。


3. 完璧じゃないから、愛おしかった

今のぼくらは
最適な友達
最適な恋人
最適な仕事
最適な学び
最適な場所

AIが全部マッチングする。

でも考えてみた。

最適って……
思い出、残るかな?

2025年の人の言葉:

「あの子とたまたま雨宿りしたのが始まりだった」
「道に迷って助けてくれたのがきっかけだった」
「偶然隣の席になったのを運命って思った」

ぼく
「いいな、それ……」


4. 見えない温度

今のコミュニケーションは
ほぼすべてデータで解析できる。

でも2025年には
解析できないやりとりがあった。

  • 目線の向け方

  • 吐息

  • 言い淀み

  • 声の震え

  • 手の温度

  • まばたきのタイミング

その全部に
心の揺れがあった。


5. レンの最終結論

ぼくはこの10話のレポートの最後に、
こう書いた。

2025年の人たちは、不便だった。
不合理で、手間で、面倒で、非効率だった。

でもその不便の中に、
“人間であることの喜び”があった。

もし未来がどれだけ便利になっても、
ぼくは、人と笑って
人と悩んで
人と泣いて
人と困りたい。

だってそれが――
人間らしさだから。

2055年のレンは、
2025年の大人たちを、
こう書いた。

「あなたたちは、不便で。
でも、そのぶん温かかった。」


■ 第10話 完

『2025年の人間たちってヤバすぎる』

— 完結 —