2055年のぼくはずっと笑ってた。
2025年の人間は「バグだらけ」で「非効率」で「めんどくさい」。
でも……
調べれば調べるほど、
ぼくの心にある感情が生まれた。
それは――
羨ましさ。
1. 不便だから、一緒にいた
2025年の人間は、
ひとりでできない事が多かった。
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鞄を持ってもらう
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傘に入れてもらう
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駅で迷ったら人に聞く
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できない宿題を友達に聞く
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重い荷物を手伝ってもらう
ぼく
「できないって、いいことだったんじゃないか……?」
今は
全部自動で
全部AIで
全部指示通りで
全部解決してしまう。
助けてもらう必要がない。
だから感謝も生まれない。
でも2025年は
人に頼る必要があった。
そのたびに
「ありがとう」が生まれた。
2. 難しいから、諦められなかった
テストの勉強は難しい。
恋愛は難しい。
仕事も難しい。
人間関係も難しい。
未来も難しい。
でもだからこそ――
みんな悩んでた。
悩むってね、
今の時代ではほとんどない。
AIが
「もっと最適な道はこちらです」
って示すから。
でも2025年の人間は
悩む権利があった。
その過程が、
人生だった。
3. 完璧じゃないから、愛おしかった
今のぼくらは
最適な友達
最適な恋人
最適な仕事
最適な学び
最適な場所
AIが全部マッチングする。
でも考えてみた。
最適って……
思い出、残るかな?
2025年の人の言葉:
「あの子とたまたま雨宿りしたのが始まりだった」
「道に迷って助けてくれたのがきっかけだった」
「偶然隣の席になったのを運命って思った」
ぼく
「いいな、それ……」
4. 見えない温度
今のコミュニケーションは
ほぼすべてデータで解析できる。
でも2025年には
解析できないやりとりがあった。
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目線の向け方
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吐息
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言い淀み
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声の震え
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手の温度
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まばたきのタイミング
その全部に
心の揺れがあった。
5. レンの最終結論
ぼくはこの10話のレポートの最後に、
こう書いた。
2025年の人たちは、不便だった。
不合理で、手間で、面倒で、非効率だった。
でもその不便の中に、
“人間であることの喜び”があった。
もし未来がどれだけ便利になっても、
ぼくは、人と笑って
人と悩んで
人と泣いて
人と困りたい。
だってそれが――
人間らしさだから。
2055年のレンは、
2025年の大人たちを、
こう書いた。
「あなたたちは、不便で。
でも、そのぶん温かかった。」
■ 第10話 完
『2025年の人間たちってヤバすぎる』
— 完結 —
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